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【特別顧問】宮脇昭先生

Dr.miyawaki

私たちが今、この地球上で生きているということは、天文学的な奇跡です。
30数億年前に、何かの拍子に我々の血液と同じ塩分濃度の一つの細胞のような命が出てきて進化を繰り返した。
人類が地球上に出てからせいぜい500万年、現在我々が生きているという事は、30数億年前に偶然に出てきた
命の種「遺伝子」が受け継がれてきた奇跡です。人類の歴史500万年の内、499万年は猛獣におののきながら、
木の芽を摘んだり、小川の小魚を捕ったりしながら、森の中で生活してきた。
人類が火を使い、森を破壊しはじめたのはせいぜい1万年ぐらい前のこと。地球の30数億年の命の歴史を
1年とたとえたら、人類の500万年はわずか1分ほどと言いますが、そのうち499万年は森の中で生活し、
あとの1万年にしても森に頼って生活していたわけです。

ところが18世紀以降、その命の歴史からみたらほんの何秒間かに当たるわずかな時間で、人類は地球環境に
劇的な変化をもたらした。急速な文明の発達はかつてない大量のCO2(二酸化炭素)を吐き出し、土地本来の森は
次々と切られ失われていった。幸か不幸か蒸気機関車など内燃機関ができ、今まで倉庫に鍵をかけている状態で
地下深くしまっていた大昔の植物の死骸である化石燃料を燃やすから、化学反応を起こして炭素が出るんです。
いくら炭酸ガスを出すのを止めようとしても、現代の文明社会の仕組みでは今の状態に留めるのが精一杯。
省エネを始め、打てる手を打つと同時に、多層群落の森をつくって、そこに炭素を閉じこめることが必要なんです。
化石燃料の炭素が燃え空中に放出されてCO2になるわけだから、もう一回森をつくってその中に閉じこめればいい。
具体的に言うと、胸高直径80cm、高さ20m以上の照葉樹を育て、それを経済的・持続的に利用していく。
照葉樹はスギやヒノキの造林と違って、後継樹がたくさん出てきます。照葉樹は育てても金にならないのじゃなくて、
超高木を丁寧に切って持続的に利用すれば、炭素を閉じこめたまま経済的にも利用して行くことは出来るのです。

日本人の92.8%の人が照葉樹林帯に住んでいるが、その照葉樹林、背骨の森は、0.06%しか残っていない。
しかし木であれば何でもいいというのではなく、森を作るのならばあくまでも土地本来の本物の森を作れ、
自然の多様性を持った照葉樹林で覆われた命の森をつくれというのが私の主張です。
自然の森のようにできるだけいろんな種類が混ざっている方がいい。
多様な種類の木を混ぜる、混ぜる、混ぜる。これが生物社会の掟。
多様な種類を競争、我慢、共生させながら、高木、亜高木、低木、下草が育つ豊かな森をつくるのです。
仮に地球上の60億の人全員が1人50本ずつの木を植えれば、何十年後かに地球は命の森を回復している。
CO2を大地に固定している主役は森林なんです。

森をつくること、それがすなわち、30数億年続いてきた地球の命の歴史を守ることにもつながるのです。

【 プロフィール 】

 理学博士 Akira Miyawaki, Professor Dr. of Sci.

1.略歴

 1928  岡山県に生まれる
 1925  広島文理科大学生物科卒業
 1972  横浜国立大学教育学部教授
 1973  横浜国立大学環境科学研究センター教授
 1993  横浜国立大学退官(同大学名誉教授)後、(財)国際生態学センター研究所長に就任
 1993 (財)横浜市緑の協会特別顧問
 1996 〜 2004 長野県自然保護研究所所長
 1996 〜 1999 国際植生学会(IAVS)副会長
 1980 〜 2004  国際生態学(INOTECOL)会長
 2008 (財)地球環境戦略研究機関と統合(財)地球環境戦略研究機関・国際生態学センター長
 2008  NPO法人国際ふるさとの森づくり協会 特別顧問

     
2.学会および社会における活動等

 1974 〜 2001 通産省エネルギー庁環境審査会顧問
 1978 〜 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会調査委員
 1980 〜 2002 国際植生学会副会長
 1981   西独ゲッチンゲン大学より名誉理学博士号
 1981   西独ザールランド大学より名誉哲学博士号
 1984   タイ国立メージョウ農工大学名誉農学博士号
 1987 〜 1990 国際生態学会(INTECOL) 副会長
 1996 〜 1999国際生態学会(INTECOL) 会長
 1997   ドイツハノ−バ−大学より名誉理学博士号
 1997 〜 国際植生学会 名誉会員
 2000 〜 華東師範大学顧問教授
 2006   マレーシア農科大学より名誉林学博士号